2005/11/4(金)
この1ヶ月毎週土曜日は雨で、今週の天気予報も一昨日まで土曜は雨模様だったが、昨日急に日曜午前まで雨は降らない予報に変わった。今週も六甲全山縦走トレしかないかと思っていて何の準備もしておらず、急遽経験していないこの時期の富士山の挑戦をしてみようと思い立つ。次に買う検討をしているダイハツのアトレーかハイゼットカーゴの体験も兼ねて車をトヨタレンタカーで可能なハイゼットカーゴの予約を今朝入れる。
装備はアイゼンと、恐らく青氷までいっていないだろうが取り敢えずピッケルも持参する。寝具はシュラフはダウンのものでのみで全身用エアマットにし、シュラフカバーと羽毛服は持参せずフリース上着1枚を加える。雪にも使えそうなレキのストックも持参。テントはゴアライズ2のみでフライシート無しで、ザックはオスプレーの「ATMOS
50」。靴はどうしようかと迷ってシリオの冬用登山靴と革登山靴の2足を車に放り込む。車手配が昼一番でできたが仕事で準備が追い着かずドタバタで14時に出発する。
久しぶりの車運転の遠出になり、何年も使っていなかった5万円のハイウェイカードの残金3万円弱を浜松インタの事務所で3枚に交換してもらう。西宮インタからの高速料金5500円だった。ハイゼットカーゴは右足側のタイアハウスが出っ張っていて窮屈だしアクセルやブレーク位置が左に寄っている感じだ。高速では騒がしいが我慢できる限界か・・・。行動食やアルコールは準備できていなかったので途中のコンビニで買う。
富士山は吉田口の5合目と富士宮口の新5合からは何度も登っているので、今回は以前冬季に偵察に行って閉められていた須走口から登る事にする。東富士五湖道路の下を右折すべきところを直進してしまい暫く迷って5合目への到着が遅くなり午前1時過ぎになってしまう。一番高い所にある第3駐車場に入る。標高2000mなので気温はかなり低くなって0度近くまで下がっているように感じる。真っ暗の中、何台か車が止まっている。寝る前に途中で買った缶ビールや「白波」を飲んでから2時を過ぎてから寝る。
2005/11/5(土)
明るくなり始めた朝に目覚めると6:30を過ぎている。飲みすぎてまだ時間が経っていないので酒が残っており、頭も痛い。まだまだ寝たいがそうもいかないので仕方なく起きる。周りを見渡すと5〜6台の車が居る。天気は上々である。富士山の7合目以上は雪が着いているが深くなさそうである。思ったより雪が少ない。上ではどのくらいクラストしているのだろう。この気温程度ではアイゼンガしっかり効くように思える。青氷までにはなっていなさそうに思える。
第2駐車場の方が登山口に近いのでそちらの方に移動する。止まった所の隣の車では何をしているのかよく判らないが50前後の男性がもそもそしている。ありあわせの朝食をとってから登山準備を始める。昨日は取るものも取り敢えず荷物を車に入れただけなので、一からパッキングし、着替える必要がある。準備途中に隣の車の男性がそこそこの大きさの登山装備で直ぐ出発する。もそもそしていたのは登山準備していたのだ。車を見るとこちらは「ハイゼット」に対して、同じダイハツの「タント」で札幌ナンバーだった。その内別の車が到着して、準備良く40代の男性が小さなザック1つで直ぐに出発する。
靴は安全サイドで冬用登山靴にし、ピッケルはいらないと思うが念のため持参する。千尋に作ってもらったクションを足首に巻く。家から持ってきた水2リットルを詰めるが、準備中も気分が悪い。今まで2000mで高山病の兆候が出たことはないのだが、まさかと思いながら出発する。札幌の男性が出発してから1時間以上後の8:40になってしまった。
登山口の店はまだ開いていて何かのお茶を勧められる。気分は悪いが断りきれず頂く。昨日は8合目まで登った人が居るそうだ。いつまで開いているのかと尋ねると今月25日頃までと言っていた。
最初は駐車場から右手に見えていた紅葉した樹林帯の尾根に向かうルートで、黄色くなった木々の中をゆっくり登っていく。朝食べた物が胃の中をうろうろしている。吐くまでではないが気分が悪い。このような体調でなければ気分の良いコースなのにと思う。体調が悪いのでスピードが出ずチンタラ登るし、登頂できるのかと弱気になってくる。樹林帯から山頂付近まで見通せる見通しの良いポイントで軽装の男性が軽快に登ってきて追い越して行く。
→ → 暫く登ると軽装の男性は休んでいる所を通過する。暫くして再び追い越されるが、新6合目手前で駆け下っていった。新6合(長田山荘:2450m)に10:38にようやく着き、余りに気分が悪いし眠いのでベンチで少し横になる。30分近く休んでいる間に再び軽装の男性が登ってきた。よく判らない行動をする男性だ。その男性が何か食べている時に出発する。20m程登るとこの暖かさなのに道横に「つらら」が何本もできていて驚く。
→ → 本6合目(瀬戸館:2700m)に11:38に着く。途中で追い越された軽装の男性が休んでいる。この頃から南東の風が吹き始める。休まずゆっくりゆっくり登り続けるが再び軽装の男性が先に行く。途中で上の7合目の小屋の方を見ると、軽装の男性より更に先の7合目手前を登る登山者の姿が小さく見える。次第に風が強くなる。体感温度が一気に下がる。
7合目(太陽館:3000m)に12:33に着くと2人が休んでいた。軽装の男性と札幌の男性だった。こんなにゆっくり登っているので札幌の男性に追い着くとは思わなかったので驚く。体調はかなり回復してきて頭痛も収まる。風が強いので厚手手袋をつけ、マフラーを巻くが風対策にゴアの雨具まで出して着る気なはならなかった。風が強くゆっくり休む気もしないので直ぐ出発する。50mほど登ると札幌の男性も出発したのが見える。軽装の男性は7合目で引き返したようだ。今 日はどこまで行こうかと考えながら登る。
雪がしっかり付いてアイゼンを着けた方がよい地点の手前でテントを張ろうと思う。しかし、風が強いので物陰でないとテントを張れそうも無い。気分は良くなり体調も普通に戻ったので良いリズムで登れる。やはり高度障害ではなかったのだとほっとする。本7合目(見晴館)に13:25に着く。風でも「ここだったらどこでテントが張れるか」を考えながら通過する。振り返ると札幌の男性は遠ざかっている。
今年バスツアーで2回も登った時に通過した8合目の江戸屋(3350m)は、下から見てもはっきりしていて次第に近づいて来る。今までは土や岩の上を登る選択ができたが、次第に積雪上を登らざるを得なくなる事が多くなってくる。雪質はキックステップは効きにくい程度の締り具合で、アイゼンを着ければしっかり効きそうだが青氷までにはなっていない。8合目を13:55に通過する。

本8合目の「胸突江戸屋」の手前あたりからアイスバーン状態が現れ始める。本8合目鳥居手前を右に反れ「富士山ホテル」に14:30に着く。ここから1時間半〜2時間程度で山頂まで行ける筈だが、風が強く、寒いこともあって今日はここまでとする。テント設営できそうな所をうろうろ捜す。南東の風で、小屋の影を捜すが完全に風を避けられる所は無い。風の通路になってしまうが富士山ホテルの小屋前の平な所でテントを張る事にする。風でテント設営に苦労す るが10分程で張り終える。テントに入る前にふと上の胸突江戸屋を見上げると札幌の男性が着いたようだ。彼もすぐ上の胸突江戸屋前でテントを張るようだ。
テントに潜ったのは16時過で別世のように暖かい。雪温計を出して気温を測るとテント内で-2℃、外気温で-6℃だった。今の時期としては暖かい方だろうと思う。テントがバタつくのでコンロをひっくり返さないよう気を付けながら暖かい食事をする。今晩は松茸のお吸い物・クラムチャウダー・カレーライスに、家から持ってきた(スピリタス+ウィスキー)とつまみの「うすぴー」だ。コンロを使っている間は入口を少し開けて喚起をしっかりするので少しも暖まらない。羽毛服を持ってくれば良かったと思う。深夜2時頃まで強風は続いたがそれ以降ぱったり止んだようだ。
2005/11/6(日)
朝目覚めたのは明るくなり始めた6:30頃だった。深夜から風が止み、静かになったのと昨日の睡眠不足で寝過ごしてしまった。外気温は-2℃で益々暖かくなっている。象足のままテントを出て日の出を見に行く。朝焼けに近く、東の雲が赤い。太陽は直接見られなかった。ふと上を見ると札幌の男性がテント撤収をしているようだ。テントに戻って残り少ない水(少し凍っていた)でコーヒーを作ってレーズンパンで朝を軽く済ませる。テント撤収は風が無いので有難い。ふと横を見ると札幌の男性が下っていく。えっ?!ここまで来て登らないの?!と驚く。アイゼンを持って来なかったのかなと思う。  ピッケルとザックをデポして7:10に空身で出発する。小屋周辺のあちらこちらでアイスバーン化している。8.5合の御来光館では1人用テントが張られていて、中に人の気配のする横を通過する。この先でアイゼンを着け、手にはダブルストックである。アイゼンガよく効くので快適に登れる。7:36に鳥居を越え、下を見ると単独者が登って来るのが遠くに見える。御来光館のテントの人だろう。
→ → →
喉が少し渇いてきたらいくらでもある氷のかけらを何回か口にする。THE NORTH
FACEのグローブを着けたまま最近買ったデジカメ(パナソニックLUMIX:LS1)で時々撮るが、何とかぎりぎり操作できる。天気は曇だが、富士山自体はがスっていないので見通しはきく。
8:03に頂上浅間大社奥宮に到着。噴火口付近を覗いている頃から北西の風が吹き始める。お鉢まわりを考えていたが、午後から雨の天気予報なので安全サイド早めに下山する事に決める。8:10に下山道から下山開始したので登ってくる単独者とすれ違うことはない。デポしたザックを8:50に回収し、下り始めると腹が減ってきたのでココナッツサブレを食べながら下る。
(頂上浅間大社奥宮)
→ → → (火口先の剣が峰) (剣が峰UP)
→ → (下山道)
下りは早い。10:28に6合目に着くが、まだ天気は持っている。風が再び強くなってきているがここまで来れば何の心配も無い。当然のことながら誰にも会わない。11:13に登山口に戻る。 後は遅くともレンタカー返却時間の明日13:00までに家に帰ればよいだけだ。
(登山口)
帰りに新5合目の様子を見て帰ろうと富士山スカイラインに入る。御殿場口(太郎坊)分岐辺りからガスが濃くなり見通しが悪い。新5合目に行っても無駄だろうなと思いつつも行ってしまう。新5合目はこの天気なのに結構人や車が多い。濃いガスの中で何も見えない。待っていてもガスは晴れないだろうからすぐ下る。富士山スカイラインを下っている途中のカーブで一度ブレーキとアクセルを踏み間違え、ヒヤッとする。アクセルもブレーキも以前の普通車の感覚より左に寄っているのでどうも間違え易いと気が付き、以後注意しなければと自分に言い聞かせる。
富士宮市街に入ってくると雨模様になってくる。西富士道路に入ろうか迷うが、今日中に帰ってもレンタカーを帰せる20時までには着けないから、一般道を通って来た時のように浜松から高速に乗ることに決める。R139に入ると渋滞であった。何度も発進・停止を繰り返す。入山瀬に来ると雨も強くなる。
前の車が近付いてきたのでブレーキを踏むとブレーキが利かずツーと滑る。慌ててブレーキを強く踏むが全く効かない。あっという間に追突してしまった。下りで雨が降っているが何故ブレーキが利かなかったのか訳が判らず慌てた。スピードは出ていなかったので追突された男性運転手は幸い怪我は無いとの事でホッとする。
取り敢えず事故の跡始末をつけなければならない。追突された方は地元の人で、警察に連絡していただき、車は動くので近くの鷹岡交番まで行って届出を済ませ、お互いの連絡先を交換し、レンタカー営業所に連絡して修理の手はずを確認し、何度もお詫びを言って分かれる。何故ブレーキが利かなかったのか考えながらR139を進む。現在はブレーキも効くのでブレーキとアクセルを踏み間違えたとしか考えられない。しかしその時はアクセルを踏んだ時のエンジン音が高くなった記憶はない。どうしても解せないが踏み間違えなのだろう。
国道1号線に向かってロゼシアター付近まで来るとエンジンの様子がおかしいのに気付く。エンジンの警告灯も点灯している。富士見大通りでエンジン停止寸前に交通障害にならない中央公園横に何とか停止できた。これではとても家まで車では帰れない。レンタカー営業所に連絡するとレッカー車を呼ばずに済むよう、何とか近くのトヨタディーラーまで運転できないかと頼まれる。エンストを恐れながら何とか近くのNetzトヨタスルガ富士店まで持って行けた。ここの方は商売に邪魔なよそ者なのに、丁寧に対応していただけ、有難かった。
その後タクシーで新富士駅まで出てこだまに乗り、六甲道に21時過に着く。複雑な気持ちである富士山行だった。
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