今回はこれから挑戦しようとする全大峰奥駆けの第1次偵察のつもりだ。できれば全南奥駆けを完走するつもりだったが失敗した。今回の失敗と反省はいろいろある。@ザックを六甲全山縦走用の小型にしたため宿泊山行には小さ過ぎた。暑い時期なので六甲全山縦走と同じように凍らせた(2.5リットルの茶+2.5リットルのエネルゲン)=5Kgの水分を携帯したのと着替えやスリッパを入れるとほぼ満杯で、食糧はまともに入らなかったA暑いので短パンにランニングシャツで登ったしテント用にも蚊や刺す虫対策が必要(虫よけスプレー、蚊取り線香)B六甲と違って足場が緩く滑り易いので速く歩くつもりならダブルストックがあった方が良いC六甲全山縦走と同じジョギングシューズにしたが朝露で靴下までジュクジュクになった。せめてスパッツは持って行くべきだし、3日以上の行程ではどしゃ降りの雨対策も考えておくべきで、できれば防水型軽量ランニングシューズを捜すべきだDこの時期うちわ持参は正解だったEいつでも沢水を汲めるようにカップを持つべき。水をポリタンクに汲み易い小型ペットボトルやジョウロなどがあれば更に良いFラジオは稜線に近くなると666KHzのNHKと1008KHzの朝日放送が何とか入る。Gルートが頭に入って居ない間は25,000分の1の国土地理院の地図を持参すべしHランニングシャツで登ったが肩ベルトが直接肌に当たって痛くなりパッドが必要Iやはり宿泊山行でコンロ無しは厳しいJ宿泊山行でアルコール無しは小仲坊のような同宿者が居る場合眠りに対して厳しいK人が通らないので蜘蛛の巣が多く木の枝のようなもので払えるように片手を空けておける必要がある(うちわと傘を持てば両手がふさがり、うちわで払う必要がある。両手でストックを持てばストックで払う必要がある)
8月18日(金)
朝2時半に起きて南奥駆けの準備をする。前鬼方面行きの奈良交通のバスは9:55しか無いので大和上市で70分の待ち時間が発生する。つまり奈良交通の9:55に乗るには阿倍野橋を8:10がぎりぎりだ。大和上市には何も無いと思っていたが自動販売機でのペットボトルと乾電池は近くで見付けられた。しかし弁当類は無理だった。せいぜいパン類が売っている個人商店が駅前に1軒あるだけだった。9:55ににバスに乗った。人は少なく7〜8人で殆どが直ぐ近くで降りる。1組の母子がバス乗り換えポイント(10:25〜10:35)の杉の湯で降りる。杉の湯では缶ジュース程度は手に入る。11:56に前鬼口に着くが、食堂は閉まっており、ここでは何も手に入れることはできない。
ここでザックの詰め替えをしている間に車が何台か前鬼方面に入って行った。喉から手が出る程乗せてもらいたい衝動に駆られる。しかしアベックやグループが殆どで乗せてと頼めそうにない。歩き始めて約1時間の13:19に初めてのトンネルを越える。それから約10分後の13:19に不動七重滝展望台を過ぎる。これからトンネルを3つくぐり更に暫く歩くとようやく車止めゲートチェーンに着く。ここで老夫婦が道に座ってお弁当を食べている。ほほえましいというか羨ましいというほのぼのとした気分だ。千尋とこういう風になりたいなと思いながらやり過ごす。
登山道を避けて林道を行く。小仲坊の手前から雨が降り始める。今日は太古の辻から南奥駆け道をできるだけ進む積もりで、できれば持経の宿まで頑張ろうとまで思っていたが雷も鳴り始めたので一旦、小仲坊の小屋で様子を見ながら休憩した。時間は未だ14:17だ。しかし一向に雨は止みそうに無い。元々足元の雨対策はさ程考えておらず、トレイルシューズは穴だらけなのでポリ袋のカバー程度の準備である。雨が続けばすぐズクズクになるのは目に見えているので次第に気持ちが軟弱になり、まだ時間は早いが、ここで泊まって朝早く出発する事にする。
小屋の扉が時々開かれて覗く人がいるが直ぐ出ていく。昨晩ここに泊まった千葉の人が小屋に荷物をデポして釈迦ケ岳を往復して帰って来た。雨具を脱いで休憩してからマウンテンバイクで下って行った。車止めゲートの所に車を置いているのだろう。薄暗くなって、もう誰も来ないだろうと思っていたらかなり高齢者(70代?)が息を切らして小屋に入って来た。もう寝ようと思っていたのにおじゃま虫だ。「よろしく」何て声を掛けられても困ってしまう。でもどうにもならない。
コンロで食事の準備を始める。その間も息の音がゼイゼイ言っている。コッヘルの音がガチャガチャ言っている。飲む音がズルズル響く。たまったものではないが文句も言えない。小屋を時々出入りする。扉を開けっ放しで虫が一杯入って来る。アルコールを持って来ていないので寝付けない。この時程ウィスキーを持って来なかったのを悔いた事はない。20時頃になってようやく静かになった。しかし今度はすぐにいびきである。たまらない。
8月19日(土)
ウトウトするだけですっきり眠れなかったが朝3時出発のつもりで2時半に起きる。相変わらずのいびきである。これではこちらが小屋を出て行ったのも気付いていないだろう。雨は夜中にあがったようだ。3時10分に出発する。月明かりで結構明るいが林の中ではヘッドランプは必要だ。暑いので暫くして上着を脱いで短パンとランニングシャツになる。
ヘッドランプの狭い視野では道を間違え易いので慎重に進む。最初の谷の左岸から右岸への渡りの所はすんなり見付けたが次の右岸から左岸への渡りはとまどった。あげくに左足を水溜まりに浸けてしまって警戒していたのに足を濡らしてしまう。最後の左岸から右岸への渡りの所が暫く迷って道を探し回った。やはり夜の登行はロスが多い。最期の水場で水が涸れており流れていないのでガックリ来た。
太古の辻に5時半頃に着く。ここはさすがに稜線だけあって風があり涼しく助かる。しかしこれから殆どトレースが残っていない下草の中を歩くので朝露で靴下がどんどん濡れてくる。六甲全山縦走と違ってジョギングシューズ系(今回はトレイルシューズ)は雨や水対策は難しい。石南花岳や天狗岳・奥守岳は周囲が木に覆われていて比良山の中岳のように頂上の雰囲気は無い。
この辺りまで道がはっきり残っていないので注意しながら進む。持経の宿に9:25に着く。昨日雨が降っていなければここまで来ようと思っていたが小仲坊からロス時間を引いても6時間弱かかっているので到着は早くても20時頃だろうから最後1時間程はヘッドランプ歩行が必要だったろう。持経の宿は山道から林道に出た所にあって小屋の前は林道である。横手方向に長い小屋で20人は泊まれそうな小屋で釜戸まであった。
20リットルポリタンクが5つ程あって番号が付けられている。壁に白板があって水を汲んだ人は名前と日にちを白板に書くように注意書きがある。また古い水は飲まないようにとも書かれていた。このポリタンクは白板の記録からは8月15日に汲んだ水のようで5つのポリタンク全て1人で運んだようだ。すごいなと感心する。5本とも全く減っていないのでこの4日間ここに誰も寄らなかったのだろうかと思う。水はまだ古くないので一気に飲める分と500ccのペットボトル1本分を有り難く頂いた。
昨夜ここまで来ていれば優雅だったろうなと思う。小屋前の林道は地図で確認すると東は池原につながっており北には涅槃岳を巻くように途中で途絶えているが遠くまで続いているようだ。西にはR425に行者岳近くの白谷トンネル付近につながっている。
小屋の前に水場200mの標識がある。林道がほぼ水平に着いているので水汲みは楽だなと思ったがよく考えると林道なので車で誰かが運んだと考える方が納得性があるのではないか。水場は北方面である。南方面に出発すると100m程で林道がY分岐している。道は右を取って20m程先に左への尾根に取り付く登り口がある。少し注意が必要だ。
このルートは帰宅してから買った2万5千分の1の地図ではっきり現れていた。40分程行くと平治の宿に着く。ここは道沿いの広場の一画に小屋が建っており小屋は奥方向に長い建物でここも10人は泊まれそうである。前の広場は4人用テントなら10張り程度は張れそうな広いスペースである。
小屋の中には持経の宿と同じく20リットルポリタンクが5つ程ある。壁の白板に注意書きも同じであった。このポリタンクは白板の記録からは5月2日と3日にに汲んだ水のようで全てのポリタンクはほぼ空であった。例え残っていても古過ぎるので飲む気はしないだろう。ここで暫くバターココナッツなどの行動食を取りながら休憩した。
12:15に行仙宿の小屋に着くがそこには人の姿が見え、その人は新聞を広げているように見えた。犬が側にいたのでてっきり小屋番かと思い込んでしまった。このため躊躇して小屋を覗かなかった。休む事無く出発する。
笠捨山に13:48に着く。頂上には祠があり、後ろは草木が刈られた広いスペースがある。道はそのスペースの先の右側にある。偵察と行動食休憩をしていると先程の行仙宿の小屋にいた犬が登って来た。驚いていると続いて登山装備の若者が現れた。向こうから挨拶があった。よく考えると行仙宿の小屋にいた人はこの人だったのだろう。新聞を読んでいるように見えたのは地図を見ていたに違いない。犬を連れて登山しているのだろうか。先に出発する。しかしここでうちわを置き忘れる。
葛川辻に15:25に着く。ここはキャンプ適地とあるが杉林の中で薄暗く山道にツェルトを張ることはできるが狭いし水場も遠そうだ。葛川辻を越えて送電線のある開けた斜面の所はトレースが水平にしっかりついているのでそちらに間違えそうだ。正解は斜面を真っすぐ登るルートだ。槍ケ岳・地蔵岳は岩場が多く手を使うケースが度々ある。ここは犬が歩くのは不可能だろうと思いながら登る。
四阿宿跡の東屋岳に15:30に着く。ここを少し下った所で尾根道と側道とに分岐している。尾根道より側道は道がはっきりしている。側道が正解だろうと思いながら。少し偵察した後、尾根道も偵察を始めた。その内何と無くこちらが正規ルートのような気がして来た。しかし標識やテープの記号が現れない。おかしいなと思いながら下る。地図をよく確認せず感覚で進む。心の中であちらの方が正規ルートだったなという気持ちを持ちながらもこのルートも納得性があるという気持ちでどんどん下ってしまう。
途中でやはり間違えたと思い始めるが引き返す気にはならなくなる程下ってしまっている。30分以上は下っている。半分引き返そうという気もあったが、まあ今回はこれでもいいやという気持ちになる。このまま下れば地図では必ず道路(R425)に着く筈である。予想通りR425に降りる。まずは水の補給である。空っ欠である。途中の沢でたっぷり水の補給ができた。次に今日はどこで寝ようかと考える。道路を歩いていると看板に林野庁21世紀の森公園が近くにあるのが判る。
ここは東屋があちこちにあるが結局本館の軒先を借りることにする。飲める水かどうかは判らないが水道があったのでタオルで体を拭いたりする。しかし虫対策が出来ていないので何箇所も刺される。ラジオの天気予報では明日も天気は不安定で所により一時にわか雨と雷がある模様。地図を見ると、時間的には玉置山から最後の縦走を実行できそうである。コンロとアルコールを持って来ていないので寂しいものだ。明日早く起きて縦走の続きをしようと思いながらマットの上にゴアのシュラフカバーを被って寝る。なかなか寝付けない。何回も目が覚める。
8月20日(日)
夜中の3時頃から本格的な雨になり出した。雨でなかったらそろそろ起きて出発する時間だがこの雨の中で山道を歩くと再び足がジュクジュクになるのを恐れて出発をためらう。夜明け頃になると雨が収まり始めたように感じた。取り合えず小雨の中を6時前に出発する。直ぐに、どろ八丁方面の道と合流する。ここにバス停があり「森林植物園」とある。
「十津川温泉」方面には、7:41、10:28、16:02とある。「どろ八丁」方面へは9:03、13:39、14:49、の3本ある。取り合えず始発まで1時間以上あるので葛川隧道(トンネル)の方に偵察のつもりで歩き始める。「玉置山登山口」から「上葛川口」まで舗装道で行く。玉置山登山口から登り始めようかという気持ちにならなかった。天候が悪すぎる。結局「森林植物園」まで戻り、7:41までまだまだ時間があるので「上小川」まで歩いて行くことにする。ここまで時々雨に見舞われる。
雨の中バスを待つが時間になってもなかなか現れない。予定より10分遅れてやっと町営バスが来た時はほっとした。バスにはおばあさん1人しか乗ってなかった。なんだかトトロの世界のような気分のバスだ。バスは十津川役場の方まで大回りしたので十津川温泉には8:30を過ぎて着いた。
当初本宮経由白浜までバスで行く積もりだったが五条に出た方が時間と料金の双方で有利だと考えて五条行きの9:00発の切符を2700円で買う。なお、熊野交通によれば本宮発:新宮行の最終は16:54発で白浜行は15:53発だそうである。バス停近くに公共浴場があって朝から入浴可能だったがバス中でアルコールを飲みたかったので、アルコールを捜すのに時間が必要だった為入浴する余裕は全く無かった。入浴も相当魅力だが入浴だけに時間を充てても時間は不足だったろう。雨の中を出発したバスの中で着替えを完了しスリッパに履き変え、酔っ払いモードに移って行った。JR五条は12:29発なので30分程時間があったので駅近の食堂で久々に乾き物以外の食事が取れた。JR六甲道まで1,620円だった。王子経由で天王寺に出た。新今宮で乗り換える積もりだったがラッキーにも天王寺で大阪行き快速が反対側ホームに入って来た。慌てて乗り換えた。家には15時前に着いた。 |