8月9日(土)
今夜はどこで泊まろうかは何も考えず六甲道を14:30ころヴェクスターで出発する。出発時のザック重量は20.2kgで重い。途中五條市のサティに寄って晩飯にザルソバと冷麺それに今晩用のアルコールとあてに「うすピー」2袋と栄養タブレット菓子2袋を買う。結果的には行動食がややもの足らずもっと買っておけば良かった。
R168でかなり進むとバイクでは涼しいを通り越して夏なのに寒いくらいだ。特に沢が道路に向かって流れていたり滝が付近にあったりするとその付近は気温が急に下がって寒い。R168は次々このような流れのある所が多く寒かった。本宮のバス待合所で仮眠出来ないかなと期待したが竜神バスの表示で待合室は止めたという事で2階に電気がついていて職員が宿泊しているようだった。
諦めて以前大雨で小井谷から歩いて本宮まで帰った時に見付けた敷屋大橋たもとのバス停で野宿する事にする。ここは川の北側で交通も殆ど無く屋根と細いベンチがあるので何とか寝られる。20:30頃千尋に携帯電話で連絡する。ここに来るのに6時間もかかっている。夏なのでシュラフも無しで着のままで寝る。
8月10日(日)
朝起きてから朝飯の準備をしていなかった事に気付く。何か食糧を求めて本宮大社方面に向かう。結局何も見付からなかったが神社で参拝してから出発する。バイクをどこに置こうかと七越峰方面に向かう。七越峰手前におあつらえ向きの乗用車10台程止められる展望台駐車場が見付かった。バイクには鍵1個と柱に結ぶ輪状の鍵をつけて雨カバーをかけて置く。
直ぐ5:35に出発するが暑い。ペースが上がらない。20kgの荷物も重い。バテバテのペースだ。今回の失敗はお茶は500ccのペットボトルだけで2.5リットルのスポーツドリンクが主になってしまった事だ。スポーツドリンクでは喉の乾きにすっきりしない事だ。それにこれ程暑いと玉置神社の水場まで水分は少なかった。うちわを持って来たが必需であった。
一つ判った事は喉の乾きに2種類あって普段喉が乾いて水を飲みたいというレベルではまだまだ我慢できるが喉の奥が苦い感じで乾きを覚えると本格的な乾きであるという事である。六甲縦走で汗をかき過ぎるのは1段階で補給し過ぎるからではないだろうかと思った。次の六甲縦走で試してみよう。
汗の吸収に腰にタオルと肩当てのタオルが有効だった。腰のタオルは休憩の度に絞ればズボンまで滴たらない。南奥駆の南部は直登が多くてきつい。案内標識が少し充実してきたようで新しい標識を時々見掛ける。旧笹尾辻で標識に書いてある太平多山方向を確認せず感で太平多山方向に行ってしまい23分ロスした。この辺りで水が切れた。
水呑金剛の所で今までなら林道終点に入っていたが直進すると道が途絶えているという表示が無くなっていたので直進してみた。結局林道終点につながる同じ林道に出た。ここで水がポタポタ滴っていたので玉置神社まで我慢せざるを得ないと思っていたが500ccペットボトル2本分の水を汲んで飲めたので一息ついた。
玉置神社に16:02に着き、松茸の吸い物・クラムチャウダ・ラーメンで夕食を取ってから水を補給して17:30に今晩の宿泊場所にするカツエ坂先の展望台に向かう。18:04に展望台に着くと車旅行の先客が居て東屋の方を4人で占領して寝ていた。風が少しあったが展望台の方に陣取る。飲んでいるとまた1台のジムニー乗りの男性1人がやってきてここで泊まるようだ。
8月11日(月)
夜中一時雨が降った。台風一過で雨を予想していなかったので焦る。明日朝起きてからどうするか考えようと再び寝る。ラジオで天気予報を確認するとどうやら今日は天気は持ちそうだが明日は崩れるそうだ。出発が遅れて6:05になってしまった。今日は行仙宿山小屋が目標だ。昨日のペースでも十分着けるだろうが今夜半から振り出す予報では早めに雨に合うのは厭だなと思いながら進む。
岩の口で迷ったが確実に早いだろう上葛川ルートを選ぶ。前回通った時は夕刻だったが今日はまだ7:27だからかなり早く着けるだろうと思う。上葛川口に8:20に着きバス時刻を確認すると十津川温泉行きは7:36,10:26,15:57の3本がある。上葛川を過ぎてアスファルト道路終点の笠捨山(地蔵岳)登山口に8:20に着く。ここから笠捨山と地蔵岳への分岐まで3時間33分もかかって11:53に着く。
台風による倒木が多く乗り越えができず沢登りよろしく高巻きまでせざるを得ない箇所もあり滑り易い道が多く歩きにくい道だ。水は笠捨山と地蔵岳への分岐までならいくらでもあり葛川辻手前1時間の所が最後の水場だ。葛川辻に13:25に着き岩の口から4時間58分かかっている。本ルートのコースタイムが4時間40分なのでどちらが早かったか判らない。これなら本ルートの方が良かったかも知れない。
正規コースを通った前回のタイムを見れば展望台から葛川辻まで7時間30分かかっているが(5:48〜13:18)今回は道が荒れていたからもあるが7時間20分もかかっている。10分しか時間短縮にしかなっていない事になる。もっとも、同じコースを通ったH12.11.23の時は4時間16分(16:16〜20:32)で行けているので今回の場合は台風直後の倒木の多さと雨で地道の緩みで通行が大変な所が多かったのもあるが。
笠捨山の登下降も急できつかったがようやく行仙宿山小屋に16:08に着く。予想通り誰もいない。雨にも会わなかったのが幸いだった。小屋の外の気温は23゚Cだが小屋室内温度は28゚Cにもなっている。いろんな虫が中にいる。小さな百足までいたので火箸で捕まえて外に捨てる。天気予報によると明日は今夜半から午前中まで雨だそうなのと結構バテテいるのと右踝が痛いのを休めるため明日1日は休養する事にする。
8月12日(火)
今日は天気予報と違って夜中に降った形跡は無かった。午前中降るという予報なので予定通り小屋に留まったが暇なので写真撮影を兼ねて水場に小屋備え付けのタンクに水を汲みに行く。その時(9時頃)突然雨が少し降り出す。しかし汲み終わって帰ったら直ぐ止んでしまいその後一度も降らなかった。ある意味で悔しかった。
吉野から出発の40歳の奥駆者が昼過ぎに入って来た。泊まっていくようだ。1日目は京都を朝始発で出発し吉野から小笹宿までで2日目は深山ノ宿までで3日目が今日だそうである。健脚である。荷物の重量を切り詰めているようで酒や余分なものは一切持たないようにしているそうだ。ツェルトはゴアテックスにして重量を減らしているのはなるほどと思った。それにしてはさんまの缶詰を持っているのは腑に落ちなかったのだが。
私は贅沢過ぎる持ち物のようだ。だからスピードも出ずバテルのだ。彼は南奥駆の南部は初めてのようで道を聞いてきたので知っている情報は提供した。2人で山の話しなどをしていると直ぐ時間が過ぎて19時頃から寝る。彼は明日朝3時起きと言っている。
8月13日(水)
私も3:00に起きて朝4:30に行仙宿山小屋を出発する。彼はもう少し前にヘッドランプをつけて出発した。今日は深山ノ宿までが目標だ。平治の宿・持経の宿の両方とも汲み水は無かった。持経の宿の温度計は18゚Cで一昨日より5゚Cも下がっている。気温が低いのと荷物も少し減ってきたので今日は楽だった。古代の辻まで2人の単独行者に出会う。怒田宿跡で以前(H12.11.24)間違った分岐で新たに標識があり左手は水場と出ていた。
今回初めて猪に出会う。最初はうりぼうが逃げて行ったので親猪に注意していたら直ぐ先にいてこちらも逃げて行ったので助かった。六甲の猪と違って危険だろう。15:50に深山ノ宿に着く。勧頂堂には紺色の裟無衣を着た人が陣取っており避難小屋は旭から釈迦ケ岳経由で来た若い男性1人が寝ていたので避難小屋に入る。
直ぐ精香水を汲みに行く。頂勧堂には行者らしき2人居るようだ。精香水にはスプーンを差し込んで水の流れを壁から分離して直接水を汲める工夫をしてあった。しかし水量はツゥーと細い水の流れしか分離できていないのでプラティパス2.5リッター一杯に溜めるのに5分程かかる。ひしゃくは無くなっていた。
避難小屋は先日の台風の時に被害を受けたのか入口ドアが壊れて外れかかっていてコンパネで覆っていたがきっちり覆うと暗いしそれでも隙間風が強く寒い。食事の準備をしてうるさくしていても若者は寝ており起きてこない。食事が終わる頃彼は起きてガスがかかり始めた外で食事をし始める。余り話すのは好まないようなので挨拶程度しか話さなかった。明日は一日雨の予報なので沈澱(小屋でくすぶっている事)になるだろう。
8月14日(木)
今日は1日雨だった。昨日から小屋で一緒の若者は私から色々情報を得て八経ケ岳方面に行くがもし調子が悪ければバイクを置いてある旭方面の登山口に引き返すと言って出て行った。昨日から急に涼しくなってきたが一日小屋にいると寒い。恐らく気温は15度は楽に下回っているだろう。
天気予報によると明日近畿中部以北は曇りになるが南部は時々降ると言っているし天候が回復するのは17日の日曜日になるそうなので明日釈迦ケ岳経由で旭橋方面に降りる事にする。今日も暇だ。この日記を書くなどで避難小屋で1人で暇を潰す。3時頃外を見ると頂勧堂の前に人が居る。てっきり中の人が出ていくのかと思ったが目を離している間にまた人が増えた。
4人も居たのかと思っていたら、その内の1人が避難小屋に入ってきた。聞けば弥山の方から3人に同行する形になった単独行者であった。3人は既に出立していたが彼は南奥駆に入ろうと思っていたがこの雨でどうしようかと思っているらしい。取り合えず今日はここで泊まるようだ。
明日、旭橋に降りてバスに乗って本宮方面に行くためには五條発のバスに乗る必要があるか何時に出発しなければならないか検討してみた。インターネット情報では五條発時刻は10:27,12:52,13:54である事を事前に調べてあったが登山地図を良く見ると五條から旭橋までバス運行時間は1時間29分とある。計算上旭橋出発時刻は11:56,13:41,15:23になる。深山ノ宿から旭橋までのコースタイムははっきりしないが約5時間10分〜5時間40分程度と見た。
雨で歩きにくく滑り易いのを考慮すると6時間見ておく必要がある。休憩を入れると7時間は必要だ。逆算すると最初のバスに乗るためには遅くとも4:56には出発する必要がある。でも初めての道なので道間違えも考えて明るくなった5時以降雨の様子も見て出来るだけ早く出発しようと思う。
8月15日(金)
朝明るくなっても雨は止みそうにそうにない。5:00過ぎから外に出て用を足していると同宿の彼も外に出てきた。5:40に深山ノ宿を出発するが彼は直ぐ着いて来るようでもなかった。雨で滑り易いのでストックを持ち暑いので雨具の上半身はゴアの雨具を着ず傘にした。釈迦ケ岳への登りの上部で笹の葉で靴の中まで水が侵入してきた。
下半身はゴアの雨具を着用しておりズボンに直接ログスパッツまで着けているので不思議に思ったが下半身のゴアの雨具を足首辺りで絞ったのがいけなかったらしい。ゴアの雨具の表面を伝った雨がスパッツの下部辺りに直接伝わりスパッツの下部辺りは防水が弱くかつ足首辺りで絞りで圧力がかけられているので余計に雨が染み込み易かったようだ。これに気付いたので直ぐ足首辺りの絞りを解放したら染み込みも少なくなったような気がする。
釈迦ケ岳との分岐を過ぎた辺りから雨が弱まり暫くすると傘をささずに下れるようになった。しかし暫く間時々雨がさっと降る事もあった。倒木も相変わらず多い。古田の森はのっぺりした緩やかな所だ。同じ旭口に行くのに左の登山口経由と右に林道経由の分岐点があった。よく判らないので取り合えず確実そうな左の登山口経由を取る。
登山口までの途中で休憩している1人の老登山者に出会う。こんなに天気が悪いのにこれから登るそうだ。登山口は林道の峠であり峠部分が広くなっていて車が1台置いてあった。地図では登山道が林道をクロスしているように書いてあったが捜しても見付からず峠を右手に下る。これから広く所々舗装されている林道を20km近く歩かなければならないのはうんざりだ。
少しするとブトが回りをブンブン飛びまくって狙って来る。3回程吸われかかったが間一髪で払いのける事ができてひどい腫れにはならなかった。今回は虫よけスプレーが1日目で切れてしまったのが失敗であった。途中旭口(旭橋)まで8.5km地点である奥吉野発電所入口の迫大橋で行動食を食べ靴下と上着を着替えた。ここ以降はブトがまとわりつかなかった。
最初のバスの11:56にはとても間に合わず7時間30分もかかって13:10に旭橋に着く。13:41のバスに乗るまで30分もある。バスには1/4程度の人が乗っていた。熊野本宮で降りて徒歩で七越峰のヴェクスターに向かう。今回は思った程遠くに感じられなかった。ヴェクスターは何事も無くポツンと立っており無事でホッとする。帰り支度を済ませてから16:30頃千尋に下山連絡をする。
帰路は遠回りだが安全な海側回りで途中温泉に入ってから帰ろうとR311で湯の峰温泉を通るがお盆の性か人が多くて通過してしまう。その後途中で看板で見付かった聞いた事の無い川沿いの温泉に500円で入る。R311を白浜方面に行かず田辺に向かい田辺で回転寿司に入る。その後R26・R42経由で家には午前1時過に着いた。帰路の所要時間は8時間30分程度で往路より2時間半程余分にかかっている。温泉・回転寿司での分を差し引いても2時間弱大回りになっている事になる。 |